「ねぇ…絢音、蒼くんがあの子といるのには、理由があるんだよ?」




………理由。




あの沙羅って子、

すごく綺麗な女の子だった



色白で細くて

ゆるいパーマがかかった

ショコラブラウン色の
柔らかそうな長い髪




目もパッチリで

お人形さんのような人だった




それに

すごく女の子っぽくて




あたしに勝ち目なんて

ひとつもないと思う




蒼が心変わりしても

仕方ないくらい




本当に綺麗な女の子だった




「蒼くんと沙羅の父親が二人でロスで暮らしてる時にね……」




ミミちゃんは、涙を流しながら、ゆっくりと話し続けた。




沙羅の父親は、沙羅が日本の大学に行ってしまい、寂しい思いと同時に、沙羅をとても心配していた。




愛する娘、沙羅のお願いで蒼を預かることになり、蒼との二人暮らしが始まった沙羅の父(光一)。




最初なかなか心を開かなかった蒼も、

光一の亡き妻に対する思いや、
沙羅に対する愛情を知っていくうちに、




蒼は、だんだんと心を許せるようになっていった。