汚れていくのが

あたりまえな気がしてた




大人になることは

そういうことなんだって…




ずっと誤解してた


ケンはケンのまま




純粋で

優しい…まま




何も変わってなかった








大人になり

汚れを知ったのは


あたしの方だった




疑うことを覚え

気持ちを試すことを覚え




相手にばかり求め続けてた




好きになった人を

信じることさえ




忘れてた……






「遊也に言われた。美々が寂しいんじゃないかって…結局、不安にさせてたの俺だもんな…ごめんな?」




「寂しかった…それに、どんどん意地張っちゃって…素直な気持ち言えなくなってた…。あたしこそ…ごめんね」




「旅行のこと、美々に言わなかったのは、ビックリさせたくてさ…不安とか寂しい思いさせて、ごめん…」




「もぉ…いい…言葉じゃ、うまく言えないから…」




背伸びをして

ケンの首に腕を回し




キスをした…―――。








心の中で

唱え続けた




“大好き……”