「あっそうだ…!絢音っ!花火しよーぜ?」




「うんっ」




さっきスーパーでたくさんの花火を買った。




「よく小さい頃やったよなぁ〜」




「うん…」




蒼がライターで手持ち花火に火をつける。




「はい、絢音」




蒼があたしに花火を渡してくれた。




「ありがと。すっごい…きれぇ〜〜っ」




「…ん」




二人で美しく燃える花火を見つめていた。




小さい頃は


あたりまえに蒼がいて




花火して

スイカ食べて

バカみたいに笑って




そんな何気ない日々が


あたりまえで




それが幸せだとも気づいてなかった




「絢音…火、消えてる…」




「えっ?あっ…うん」




「線香花火すっか?」




「…うん」




消えていく……?




美しく咲いては




散っていく……




一年前の夏、花火大会の日。




蒼にアメリカへ行くことを告げられた…




儚いから…美しいの…?


美しいから…儚いの…?




幸せは

花火のように……―――




3日後…




蒼はまた


いなくなる……




ボトッ……―――




線香花火が消えた




また蒼…いなくなっちゃう




イヤ…

イヤだよ…




ひとりにしないで…蒼




あんなツラい思いをまた繰り返すの…?




「絢音…何泣いて…」




「蒼…行っちゃやだ……」




蒼の身体にしがみついた。




そばにいて……―――。




幸せも

大切なモノも




失ってから気づく




「お願い…あたしのそばから…いなくならないで…」