「帰る時は、ここの番号に連絡してくれれば、また迎えにくるからなぁ」




そう言って、タクシーの運転手さんは、番号が書かれた紙をあたしたちに渡してくれた。




「ありがとうございました」




あたしたちは軽くお辞儀をする。




「楽しい時間を…」




そう言って、タクシーの運転手さんはドアを閉めて、走り去った。




「……ここか」




「ってかさぁ…蒼のお父さん…すごくない?」




「俺もちょいビビった…」




目の前に建つ、白を基調としたアメリカン調な二階建ての別荘。




「…でかいよね」




「…でかいなぁ」




あたしと蒼は、ちょっとの間、驚きで呆然と立ち尽くしていた。




「……とりあえず、入るか」




「そ、そーだね」




蒼は、お父さんから預かった鍵をポケットから出して、鍵穴に差した。




ガチャ……―――キィ………




「…すっごぉぉぉ〜い!!」




中に入ると、広いリビングが見えた。




インテリアも、きっと蒼のお父さんのこだわりで…素敵なものばかり……




あたしはまるで、丘の上のお城に来た、お姫様の気分になった。