―――………




目が覚めると、ぼんやり白い天井が見えた。




ここは…病院…?




「美々…!」




ゆっくりと横を向くと、ケンがいまにも泣きそうな顔であたしに呼びかけた。




「ケン…心配かけて…ごめんね…」




「無事だったんだから…いいよ…」




いつもの優しいケンの笑顔だ………




「ミミちゃんっ!」




「…絢音」




ケンの隣で絢音は、目に涙をいっぱい溜めて、あたしの布団をぎゅっと掴んでいた。




「助かったんだ…あたしたち…」




「地元の猟師のおじさんが二人を見つけてくれたんだよ。あたし有坂くんの方見てくるね…」




絢音が行こうとする腕を、あたしは必死に掴んだ。




「絢音っ…有坂は…?」




「…大丈夫だよっ!助かったよ」




あたしが微笑んだのを見て、絢音は病室を勢いよく出ていった。




―――バタンッ。

ドアが閉まり、病室には二人きり。




「先生に怒られるよね…」




「いま、美々の親に電話しに行ってる」




あの事件以来、お母さんに二度と心配をかけまいと誓ったけど、また心配かけちゃったな。




「美々…ごめんな」




ケンは、ベッドの上に座り、そっとあたしを抱きしめる。




優しく…あたしの頭をポン…ポン…と叩きながら…




「俺が美々をこんな目に遭わせた…」




「それは違うよ…」




「俺、自分のことしか考えてなかった…。俺さ、信じてたのに、遊也と絢音っちがあんなことになって…美々のことまで不安になってた…」




「ケンの気持ち、わかってあげなくてごめんね…」




絢音と遊也のことが、本当にショックだったんだね、ケン。




「あのことがあって…俺…信じること怖くなったのかもしんねぇ。美々は俺を好きだって言ってくれてたのに…本当にごめんな…」