「…前に、蒼くんから…栞のこと聞いたんだけど…。栞とアンタ、境遇が同じなんじゃない?だから…栞は…アンタを選んだんだと思う…」




「夏川が…?」




「……うん」




問題は違うけど…なんか似てる気がする。人を傷つけていい理由なんてない。一生、許せるわけもない。だけど、あたしは栞のこと忘れることにしたの。




「それとさ…俺の言うこと信じられないと思うけど…、高梨は汚れてないから…」




「…はっ?何言って…」




「車に連れ込んで、目隠しして、身体中を縄で縛って殴ったのは、俺じゃない。もう一人のヤツ…ホテルに着いてから、高梨を裸にして写真撮ったのも…アイツ…」




「…やめて……思い出したくない…!いいわけしてるつもり?そばで見て止めないなんて同じ共犯でしょ?」




「わかってる…。けど、あとは俺がやるって言ったんだ。アイツは、ギャルはタイプじゃないしって…笑いながら帰ってった…」




「…そんなの…嘘…」




「気絶した高梨が起きるまで、ただそばにいた。何もしてない…」




「嘘つきっ!」




「“鈴ヶ森絢音に伝えておけ…”それだけ言い残して部屋を出た…」




もしそれが、本当なら、どんなに救われるかと思う。




「……本当なの…?」




「高梨の身体は綺麗なままだよ」




「ケンに…早く言いたい…ケン……っ」




付き合ってから




壊れ物に触れるように


ケンは

いつもそっとあたしに触れてた




ケンが好きなのに


震える自分がイヤだった…




ケン…


今すぐ抱きしめたいよ…