「もう一人の男は…20才ぐらいだったと思う。俺も知らないヤツだった。車もそいつの…」




「自分の為なら…人はどぉでもいいわけ?あたしがどんな気持ちで…死のうとしたんだからぁ……」




手首に残る傷…


だんだん薄れていく




なのに心の傷は…深く残って…消えない…




「………ごめん…本当にごめん…っ」




有坂の頬には、一筋の涙が伝う。




「何で…何でアンタが泣くのよ…。泣いたって一生許さない…」




「2年になって…あの時の女の子と同じクラスになった…。その子は…俺が犯人だとも知らずに…隣の席になった時も…無邪気に笑ってた」




―――…パシンッ!




あたしは…有坂の頬を、平手で思い切り叩いた。




「その子は…俺のボロい財布を見ても、“大切に使ってて偉いね”って言った。」




――――……

“有坂くん…お財布落ちたよ?”




“……”




“物を大切にする人…あたし好きだな”




「その子が初めてだった…。俺を可哀想な目で見なかったのは…本当の俺を知っても…変わらない態度でいてくれた…」