「…高梨……」




「…来…ない…で……」




あたしは力が抜けて、その場にガクッと座りこんだ。




すぐに身体中の震えが、唇の震えがやってきた。呼吸も荒くなる…怖い。




「…高梨……っ」




汚れた手が目の前に近づいてくる。




「触らないでっ!!…何が目的…?あの時は…あの女に頼まれたんでしょ…今度は何…?」




夏川…栞…思い出したくもない。




どこかで生きてると思うだけで、吐き気がする。




「あたしに…近づいて…どぉしようって言うの…?」




「高梨…ごめん。一生許してもらえないってことも…わかってる」




「…消えて……」




こんなヤツに…




こんなヤツに…




あたしは汚されたんだ……




「俺は…死んでもいい。けで高梨を死なせるわけにはいかないから…」




そう言って有坂は、ひたすら砂を掻き続けた。