「ねぇ…なんか言ってよ…」




あたしの言葉に有坂くんは、黙り続けたままだ。




「有坂くんが…どうして知ってるの…?」




ガリッ…ガリッ…




有坂くんは無言で、砂を掻き続ける。




「まさか…」




「その…まさかだよ…」




身体が…一瞬、大きく震えた。




「高梨を傷つけたのは………俺」




高1の4月…




学校の帰り…買い物に行く途中の狭い路地で、いきなり後ろから襲われて車に押し込められた。




あたしは目隠しされて…けど男が二人いるのはわかった。




車の中で暴れるあたしは、殴られて、気絶して…そのまま目が覚めなかったらどんなによかっただろうって思う。




意識を取り戻して、目が覚めても目隠しされたままで何も見えなかった。




“鈴ヶ森絢音に伝えておけ”




ひとりの男の声が聞こえ、すぐにドアの閉まる音が聞こえた。




あたしはなんとか目隠しを取ると、ホテルのベッドの上だった。




服は床に落ちていて、シーツにくるまれたあたしの身体は裸だった。




辺りに散らばる、自分の裸のポラロイド写真…




男たちに好きなようにされたんだと…




怖くて、パニックで、殴られた痛みなど感じないほどに、あたしは泣き叫んだ。