バカ…


バカ…


どうして信じてくんないの…?




ケンのバカ…




「ここ…どこ…?」




無我夢中で走り続けているうちに、いつの間にか林の中にいた。




「絢音に電話しなきゃ…」




って…携帯…圏外だし。




「どーしよ…どっちから来たっけ…」




周り見渡しても木しかない。背の高い木々が、辺りを暗くする。




ピチャン…―――

頭の上に冷たい雫が落ちてきた。しかも肌寒い。




「雨…?最悪〜っ」




どうやら迷子になってしまったようだ。携帯も繋がらない、周りも木々しか見えない。方向もわからない。最低なシチュエーションだ。




「どぉしよ…とりあえず歩こう」




ザッザッザッ……




なんか草の音を踏む音が聞こえてくる。あたしの足音ではない。




もしかして熊とか…?




あたし熊に食べられて死んじゃうの…?




そんな人生嫌だ。




「助けて…ケン……」




とりあえず、あてもなく走ることにした。




ザッザッザッ……ガッ…ズドンッ!




「…っ痛い……」




あたしは石につまづき、前のめりに転んだ…




目の前は…崖…!?




「キャァァァ…」




ズザザザザ…ッ―――




あたしは、崖を転び落ちて行く。