「どこまで行くのっ?!」




ケンは、あたしの腕を引っ張りながら、ずっと歩いていく。




「痛いってばぁ…離してよっ」




あたしは、何度もケンの手を振り切ろうとするけど、力が半端なく強い。けれど、やっと立ち止まってくれた。




「メールはすぐ返せ…電話もシカトしやがって…。俺の言うこと守れねぇんなら、おまえのこと…もぉ知らねぇから」




「なにそれ…ケン…おかしいんじゃないの…?」




なんだか泣きそうになった。こんなの嫌だ。




「あたしには、あたしの時間があるのっ!しかも今、修学旅行中!ケンにばっかかまってらんないっ」




「有坂と話してる暇は、あんじゃねーか」




「まだ昨日のこと根に持ってんの!?バッカじゃない?男のくせに、いつまでも根に持っちゃってカッコ悪いよ!」




「はっ?根に持ってねぇよ」




「嫉妬して、ヤキモチ妬くぐらいなら、まぁ可愛いもんだけど!あたしを束縛しないでっ」




大声で叫んだあたしの言葉を聞いて、ケンは一瞬黙り込んだ。




「……彼氏なんだから、それぐらい当たり前だろ…?」




「それが…ケンの愛し方なの…?」




「おまえさ、俺の気持ちとか考えねぇの…?」




謝ったじゃない。これ以上、あたしにどうしろっていうの?




「あたしは…本当に相手のこと好きなら、信じるべきだと思う」




「俺が、美々のことどんだけ想ってっか知ってんだろ…?」




「今のケンは…嫌い」




自分でも気づかない間に、涙が流れていた…




「ケンなんか大っきらいっ!!」




あたしは、ケンを置いたまま、その場から走り去った。