「美々っ!!」




後ろから、ケンの声が聞こえた。顔見たくない。




「………」




あたしが無言で振り返ると、ケンはものすごく怒った様子だった。




「何で…そんな怒ってんの…?」




そう言ってあたしは、冷ややかな目で、ケンを見た。あたしだって我慢の限界がある。




「何でメール返さねぇんだよ!電話しても出ねぇしっ」




「…うざいから」




「ちょっと来いっ!!」




ケンはあたしの腕を無理やり引っ張り連れて行こうとする。




「いま絢音とお土産見てんのっ!邪魔しないでっ」




あたしは、ケンの手を力いっぱい振り切った。




「ミミちゃん…。いいよ…あたし、みんなとお土産選んでるから…。ケンちゃんと話して来なよ」




絢音は、あたしの背中をそっと優しく叩く。




「ごめん…絢音。ちょっと行ってくる」




「うんっ」




絢音に手を振ってる最中に、左腕をケンに無理やり捕まれ引っ張られていく。その痛みがなんだか憎らしかった。