有坂くんが…あたしを好き……?




「呼び出した時点で、告白されるとか思わなかった?高梨は勘が鋭いから、バレてるって思ってた」




「そんな…まさかと思って…」




あたしは立ち上がり、有坂くんに背を向けた。




「あたしには…ケンがいるから…」




「うん。知ってる」




振り向くと、有坂くんは満面の笑顔で笑っている。




知ってるって…何その笑顔…




「高梨のこと、好きでいていい?」




「そんなこと…あたしに聞かれても…」




困るし…ハッキリ断るのが、有坂くんの為でもあるよね!




「あたしには、ケンだけだから…ごめん、有坂くんの気持ちは嬉しいけど…」




「そっか」




有坂くんも立ち上がり、上からあたしを見降ろした。まっすぐな真剣な瞳に、あたしは視線を逸らす。




「そぉ…だよ…………なっ?!」




不意をつかれて、今度は、おでこにキスされてしまう。




「高梨、隙ありすぎ」




そう言って有坂くんは、あたしの頭をポンポンと叩いて去ろうとしたから、あたしは納得いかず呼び止めた。




「ちょっと…何考えて……」




そう言いかけた時、左側の方から突き刺さるような視線を感じた。




「何…やってんだよ…」




低い冷めた声…ケンが怒りに満ち溢れた表情で立っていた。




「ケ、ケン…これは…」




ひぃぃぃ~!誤解だよぉ〜ケン〜っ!!