先生たちにバレないように、ロビーの隅の方で、壁にもたれかかって座った。




「有坂くん、今日は…メガネしてないんだね。あたしのこと見えてる?」




有坂くんの顔の前で、手をひらひらさせると、有坂くんは穏やかに笑った。




「ハハッ…見えるよ。それに、あのメガネ、だてメガネなんだ」




「えっ!?そぉなの?なに?何のために?!」




「メガネかけてると、俺…マジメっぽく見えるだろ?」




急に真剣な顔で話す有坂くんに、今度はあたしが笑ってしまった。




有坂くんが…こんな風に笑うなんて知らなかったな…




有坂くん=マジメ




みたいなイメージだったし…




「メガネ外したら、こんなイケメン君だったなんてね?メガネ外せば?モテんじゃないの?」




「マジかぁ…今まで俺ちょー損してたじゃん」




2年になってクラス一緒になって、一度だけ席が隣だった時期があって、携帯の番号交換して…




有坂くんがこんなキャラだったとはね。話しかけにくいイメージだったし、でも人って話してみないとわからないもんなんだなーって思う。




「んで?あたしを呼び出したのは?」




あたしの言葉に有坂くんは、顔をそむけて笑う。




「…高梨ってさ…ホントなんっつーか、サバサバしてるよな?」




「それ、褒めてる?けなしてる?」




「褒めてる」




――…ドキッ!




じゃなくて…




イケメンにこんな至近距離でニッコリされたら、誰だってドキドキするよね…?