「ねぇ…絢音、あたしはね、遊也を好きになれるならその方がいいと思うよ」




蒼くんと兄妹なら、二人は愛し合えないのだから。

それに遊也ならきっと、絢音を大事にしてくれる。




ケンの気持ちは、わかる。蒼くんも、どれだけ悲しいのか、考えただけで胸が張り裂けそうだよ。


だけどあたしは、絢音の幸せを願いたい。




「…ミミちゃん……あたしね…やっぱり自分の気持ちに嘘つけないよ…。散々みんなのこと傷つけて裏切って、何言ってんのって感じでしょ?」




絢音は起き上がって、あたしの目を真っ直ぐに見つめた。




「もしも…もしもホントに兄妹だったら…どうするの……?」




あたしは…絢音に何もしてあげられない




絢音のこと、大好きなのに…

友達なのに。



何も出来ない、それが悔しくて、どんなに悲しいかわかる?




だから少しでも傷つかないで欲しいって願うしか出来ない。




他の誰かを好きになることが

できたらいいのに……




「蒼はね…兄妹じゃないこと信じるって言った。あたしも信じようと思うの…。でももし本当に兄妹だったとしても……」




「しても…?」




「あたしは蒼を好きでいるっ」




絢音は何か吹っ切れたように、空を見上げた。




ねぇ…絢音


何も出来ないけど




“神様…どうかこの二人を引き離さないであげてください”




ただこの空の下で

祈るよ……