ポタッ…ポタッ…――




髪や服のすそから水が滴り、アパートの階段や廊下が濡れていく。




不安そうな絢音の頭を撫で、俺は自分の家のドアノブに手をかけた。




――ガチャ


絢音の背中を押し、家の中に入れた。




「おかえ……り…」




台所から走って出てきた瑠奈が、絢音に気付き、黙りこむ。




「絢音、シャワー浴びろや。そこのタオル使ってええよ。着替えは俺の服やけど我慢してや」




「………でも…」




絢音が瑠奈の顔を見ると、瑠奈は目を背けた。




絢音の身体はガタガタと震えている。このままじゃ風邪引いてしまう。




「…ええから」




絢音を無理やり、洗面所に押し込み、ドアを閉めた。