家に着き、玄関に入ると家の中は真っ暗だった。




「…パパとママ…まだ帰ってないのかなぁ?」




「もう10時だぜ?とっくに花火終わってんのに…」




蒼はおぶっていたあたしを玄関でそっと下ろした。




「花火のあと、どっか飲みに行っちゃったのかな?」



リビングの明かりをつけると、テーブルの上に置き手紙があった。




“絢音、蒼くんへ。

花火のあとは、パパとデートで遅くなりま〜す!
戸締りちゃんとしてね?

ママより”




「…仲いいな」




「ほっとこ…」




「俺、部屋いって着替えてくるよ」




「あっ…あたしも。浴衣脱ごっと…」




階段を上がり、部屋に入ろうとする蒼の背中を見つめた。






“俺さ………アメリカ行く”




蒼の言葉が、頭の中で繰り返される。




「蒼……っ」




後ろから、ぎゅっと蒼の背中に抱きついた。