込み上げてくる涙も、溢れ出しそうなあたしの想いも必死に堪えて、あたしは笑顔で答える。




「……わかったよ…蒼」




これが精一杯の笑顔だった。




「いってらっしゃい…!」




泣いちゃだめなのに。笑っていなきゃ…蒼が辛くなるのに。どうしよ…涙がこぼれ落ちそう…




あたしは蒼のTシャツの裾をぎゅっと掴み、俯く。掴んだ両手が震えてる。




「…絢音……」




蒼は震えるあたしをぎゅっと強く抱き締めた。




「……ごめんな」




耳元で囁かれた蒼の哀しげな声に、これ以上涙を堪えることは出来なかった。




蒼の背中にそっと腕をまわす…。




泣いたら


蒼を苦しめる




なのに…涙を止められない



顔を思い切り、蒼の胸に押し付けた。




「…泣いてないから……」




声を押し殺して


身体の震えを必死に抑えて




本当の気持ちは隠して




それでも蒼の服は、あたしの涙で濡れた。