「ア、アメリカて…蒼…なんやおまえ…実は外人やったんか…?」




遊也は、驚きのあまり目が点になっていた。




「…遊也に言った俺が、バカだった」




俺が呆れて深くため息をつくと、ケンは真剣な顔で俺に訊く。




「遊也は、ほっといて…んで、続き話せよ?」




そう言ってケンは、呆然としている遊也に軽く蹴りを入れた。




「親がアメリカへ来いってさ…最近ずっと電話きてて…」




「だって高校3年間は、絢音っちの家に住むってことなんじゃねぇの?」




「そのはずだったんだけど…母ちゃんが倒れたらしくて…」




「え…?」




「もともと身体は弱いんだけどさ…。それで親父が、アメリカに来いって…家族が離れて暮らすのはやっぱよくないとか言っちゃってさ」




遊也とケンは、黙り込んで下を向いてしまった…。




「仕事ばっかで、家庭のことなんか気にもしない親父が、そんなこと言ってきてさ…」




「絢音には言うたんか?」




「いや…なんか言えなくて」




「そりゃ…そうやろな…。いつ行くんや…?」




「夏休み最後の日に…旅立つ」




あと…




1ヶ月半……―――