「俺の母ちゃんな、去年死んだんや…」




俯いたまま、小さな声で遊也は呟いた。




「えっ…どうして…」




「俺な、母ちゃんに引き取られたやろ?母ちゃん体弱いのに、口だけ達者でなぁ…ムリして仕事しとったし…」




遊也の声が微かに震えている気がした。




「俺は、智也と違ってイイ子やなかったんや。悪さばっかりしとってんな…」




「遊也、不良だったの…?」




見た目はいかにも…そういう感じしてたけど……




「まぁ警察に何度か捕まったりもあったんや…母ちゃんに迷惑ばかりかけとった…。中3の時、学校で土下座しとる母ちゃん見て、泣いてもうて…そん時めっさ後悔したんや」




「イイ子になろうとしたの?」




「そう思った時にはもう…手遅れやったんや」




顔を上げた遊也の目には、涙が溢れていた…。