遊也に、小5の夏休みの最後の日…智也が死んだあの日のことを全て話した。




「あたしの言葉が…“欲しくても手に入らない”…そんな絶望を智也に与えてしまった…」




「ちゃうよ」




「ごめんなさい……っ…ぅぅ……」




「ちゃうってっ!!」




遊也は大きな声を出し、あたしの両肩を力強く掴んだ。




「俺のトコにかかってきた、智也からの最後の電話はな…おまえの話やった…。好きな子がおる、初恋やって言うねん…その子といると、病気のことも忘れられる…明るくて元気で、笑顔が好きやって、そう言っとったんや…」




「…っ…ぅぅ…っく…」




「名前は、“絢音”って言っとった。智也は…幸せなまんま死にたかったんやろ。おまえとの楽しい思い出抱えたまんま…眠りたかったんやろ…。きっと…海に誘ったんも、最初からそのつもりやったんや…」




「ごめんなさい…っ……」




「双子やからな…アイツの気持ちわかるんや。せやから…おまえは悪くないって言えって智也が言うてんねん…」




「…ぅぅ…っ…遊也…ありがとぉ……」





あれだけ苦しかったのに




不思議と5年間ずっと苦しかった

心の奥の何かが




すーっと消えていった……