あたしが向かったのは、この前も来たばかりの、家からそう遠くないあの海…。




智也に、ちゃんと話さなきゃいけない。




ザザザーッ…ザザザーッ…―――




空は穏やかに晴れて、春らしいポカポカとした暖かい日だ。この前来た時とは、全然違う。
気持ちも、目に映る景色も色も。




サクッ…サクッ…――

砂浜を足早に歩いていく…




智也の好きだったラムネのジュースを買って、鮮やかな紫色の紫蘭(シラン)の花を持って………




智也に逢いに……。







誰かいる…




「……遊也…?」




波打ち際にたたずむ金髪の少年、それは遊也だった。