『…俺に未来はないから……』




智也は、小さな声でそう確かに言った…――。




『え…?』




その言葉の意味がこの時のあたしにはまだわからなくて。




『明日から新学期だね、絢音』




『うん…』




ザザザーッ…ザザザーッ…―――




それからどれくらい海を見つめていたかは…わからない……




『絢音は、先に帰って…家の人…心配するだろうから』




『何で?智也も一緒に帰ろうよ…』




『絢音にフラれたし…カッコ悪いとこ見せたくないんだ…。これから俺泣くかもよ?』




『智也…そんな…』




『うそうそ…夏休み最後だしさ。海辺で星とか…ひとりで見たい気分ってね♪俺、なにげロマンチストだし…』




それは、智也の

最後の笑顔だった




『絢音…じゃぁな』




それが智也の

最後の言葉だった




ねぇ…智也