「5年前のあの夏の日……―――」




あたしは、目を閉じて…あの日のことを蒼にゆっくりと話し始めた。




―――……


小5の夏休み最後の日、智也に誘われて、あの海に行った。




海が見たいという智也は、浜辺にずっと座っていた。




あたしはひとり、波打ち際ではしゃいでた。




そんなあたしを見て、智也は優しく微笑んでた。




『智也も手伝ってよぉ〜!!』




『アハハッ…絢音ヘタクソだな』




二人で砂のお城を作ったり、あたしの為に綺麗な貝殻を集めたりしてくれた。




時間を忘れるほど、楽しかった…




そして
いつの間にか…、




夕陽で空一面が橙色に染まり、海がキラキラと輝きだした……