あたしは、蒼の身体をゆっくりと離した。




「わかってる…おまえは俺のこと何とも思ってないことぐらい」




違う…違うよ…蒼




「俺たちのことより、高梨のことが先だよな?高梨の傷が癒えて、高梨がまた笑えるまで…頑張ろうぜ」




美々ちゃんが悲しい時に、あたしだけ幸せになんてなれない。




心から喜べない。




蒼は…あたしの気持ちわかってくれてた。




「美々ちゃんとまた…前みたいに過ごせるようになるかな…?」




「絢音が信じなくて、どぉするんだよ」




「うん…」




美々ちゃんが




また笑えるように…あたしが強くならなきゃ…




美々ちゃんの傷が




少しでも癒えるように……―。




「俺…待つよ…。絢音が俺のことを見てくれるまで…絶対に好きにさせてやっから」




蒼があたしの頬を左右に引っ張った。




「ハハハッ…ヘンな顔っ」




「ひどぉーい」




久しぶりに二人で、少しだけど笑い合えた気がした。