「カバン返して。」

あたしは冷たく言い放った。
強がらないと泣きそうだった。

ハルは何も言わない。

「ねぇ。あたし帰りたいんだけど。」

するとハルはこっちを向いた。でも目を合わせようとはしない。


『ごめん・・・』

あたしはため息をついた。

「・・・なんで拒否しなかったの?」

『沙織ちゃんが傷つくと思ったからさ・・・』


やっぱり。

「そんなことだろうと思った!
でもね、あたしの気持ちも考えて。
自分だったらどんな気持ちになるか・・・」

『考えた。
東子いなくなったからずっと。
まじごめん。』

ハルは立ち上がってあたしを抱きしめた。

ほんとはこんな早く許すつもりなかったけど、すごい反省してるみたいだから許してあげよう。

あたしはハルの背中に手を回した。

「許してあげる。
でも次はないからね!!!」

あたしはハルから離れてカバンを奪った。

ハルは寂しそうに笑うだけだった。