二年生ともなると、進路のことが頭をもたげてくる。私は、まだどこへ行きたいのか、何をしたいのか決めかねていた。


何となく「いいな」と思っていたのは、東京の大学で美術史を勉強することだった。学科のある大学は限られていて、学費も他に比べると高いので、親には反対されている。ただ、モネの睡蓮の絵が好きだったので、印象派について勉強したいな、と思っていた。


「でも、その卒業後にどんな職業につけるの?」


親から強い口調で言われてしまうと、私も答えようがなかった。学芸員は狭き門らしいし、大学院に進んで勉強するほど研究心旺盛というわけでもなかった。