ある時、美穂のお母さんが帰り際に声をかけてくれた。


「沙代ちゃん、いつも美穂と仲良くしてくれてありがとう」
「いいえ、そんな」
「実は美穂は中学の頃、クラスでちょっといじめにあった時期があって」


お母さんの話によると、受験の時期にクラスの女子からしかと攻撃をされて、登校拒否寸前までいったという。その時期、成績のいい子はみんなその攻撃をうけて参ってしまったらしいが、とりわけ線の細い、引っ込み思案の美穂にはつらかったらしい。