法事自体はつまらない。


お寺の講堂で、美穂が私の知らない別の名前で呼ばれている。美穂さえ寂しい思いをしないなら、どちらかといえばお墓の前にいたかった。お焼香の段階になってようやく美穂は仏様になったのだと実感した。美穂、遅くなってしまったね。ごめんね。


「沙代ちゃんが来てくれて、娘も喜んでいると思います」


美穂のお母さんから涙ながらにこう言われた時は、申し訳なさでいっぱいだった。高校時代の無二の親友が、お葬式にも三回忌にも出席せず、ようやく悲しみも癒えかかった頃に顔を出すなんて。ごめんなさい。謝りながら、慰めの言葉。聞かれるがままに、近況報告。型にはまった会話に私は救われていた。