私は、隣のクラスに美穂を連れ出すと、窓際の席にいる石川さんのところへ行った。


「石川さん、美穂、学校に来れるようになったんだ」
「おお、お待ちしていました」


石川さんは大げさに美穂に挨拶したが、石橋君の方は向かなかった。「いい奴なのよ。でも、照れ屋だからこっそり見てやって」


石橋君は、中庭に面している方の窓際の席に座って、こっちを意識しているのかいないのか、後ろの席の男子と教科書を覗き込んで話していた。