石橋君は一学期から美穂のことが気になっていたらしい。いつだったか、美穂と私は学年集会の時に大遅刻をやらかしてしまったことがあった。他の生徒は全員講堂の床に座っていたから、二人とも目立ったに違いない。


「そのときにさあ、あなたたち先生から『何やってたんだ』って怒られたじゃない」
「うん。あの時は二人でドリカムの曲聴いていて、チャイムが聞こえなくて」
「先生が『お前ら、カップルか』って」
「そうそう」
「その時の美穂の反応が可愛かった、というのが」
「それがきっかけかあ」
「そう、沙代ちゃんじゃなくて美穂のほう」