「沙代は、八方美人」


こんな噂が流れ始めたのは、二人で付き合おうかどうしようかと話すようになったのと同じくらいだった。


私なんかとつきあったら、評判落ちちゃうからやめとこうよ、という私に山中君は、人のことなんかいいじゃん、内緒にしとけば、と言ってくれていた。


でも、噂に私は傷ついて、負けそうになってしまっていた。