西暦も60世紀を迎え細々と暮らす人類も衛星軌道上に大規模な宇宙ステーションを浮かべ、宇宙空間に出たり、其処で生活する事自体は特別な事では無くなって居た。


宇宙空間に携わる仕事をする者も珍しい存在では無くなった。


西暦70世紀、やっと人類は国を統合して一つに纏まった政府を作り、貧富の差や人種差別も無くなった。


最も貧富差を差別するだけの人口も無くなってしまったというのが本当のところだが。


そして皮肉な事に地球上の自然も再生され始めた。


人口減少によるエネルギー使用量の減少、排気熱の減少等により自然が復元し始めたのだ。


もはや人類は地球上の生物連鎖の頂上にはいない。生物連鎖の頂上に居るのは、地球そのものなのかも知れない。


沈黙の時間…


閉塞する人類…


…そして…黄昏の宇宙(そら)