彼は長い体に多数の足を器用に動かし
て、その苔に向って歩き出した。
そして、その苔を見つけると、本当に
嬉しそうな声で
「有った、有ったよ、食べ物が有った
よ、何日ぶりだろう。」
彼はその苔をおいしそうに食べ始めた。
ひとしきり苔を食べ終わり、おなかが
満たされ満足すると、イーグルに話掛
けてきた。
「有難う、有難う、食べ物を有難う。
僕はこれで生きていく事が出来るよ。
生物と言うのは罪深い物だね。生きて
居る物を食べないと自分が死んでしま
うから、彼等を犠牲にしてもそれを食
べて生きていかなきゃいけない。彼等
には感謝しないといけないね。」
イーグルはちょっと心が痛んだ。
ひょっとしたら、彼に同期したのは、
この星を這いまわる物達では無かった
のかも知れない。
ひょっとしたら、苔の方が彼に同期し
て来たのかも知れなかったと思ったか
らだ。