空になったボトルを回収しながら、未だ突っ立ったままの二人の会話に耳を傾けるのは忘れない。
「お前の怒声が聞こえたと思って見てみれば、女に掴みかかるとはどういうことだ?」
「…何でもないッス。」
「大崎先輩が昨日言っていたことを忘れたのか?」
「…忘れてないッスけど、頭に血が昇っちまって…」
昨日言っていたことって何だろ?
少し気になったけど、“大崎先輩”って名前がでたとき、木原は明らかに動揺した。行動にでてくれないのが少し残念なところだけど。
もうこれ以上聞く意味もないなと思ったあたしは、零れているドリンクも義務としてちゃんと処理し、再び仕事場に戻ることにした。