足下でドリンクが零れているのを見ながら、あたしは微かに口角を上げる。
「ふざけてない。あたしは一番じゃなきゃダメなのよ。」
そう、あたしは一番じゃなきゃ。
そのためには、何をするのも厭わない。
「寿也っ!何やってんだ?」
「…っ、沢柳先輩…。」
突然伸びてきて、木原の腕を掴んだ手。
あたしが誰のものかを確認すると同時に、掴まれていた両肩は解放された。
「沢柳君、美香は大丈夫だから木原君を怒っちゃダメだよぉ。」
その場にいる雰囲気でもなくなったので、精一杯の笑顔を浮かべてあたしは二人から離れる。
これで木原が少しでも動揺してればいいんだけど。