「……木原って彼氏じゃん。」
思わず呟いてしまったけれど、木原は陽路の彼氏。まじめに練習しちゃってるけど、今の状況わかってんのかな?何かスゴく気になる。
気を引き締め、あたしが再びコートに戻ると、ちょうど練習は10分休憩になったようだった。タオルとドリンクを配っていると、タイミング良く木原が集団を少し離れたので、ここぞとばかりに話しかけた。
「ねぇ?木原君♪阿久津君が何でいないか気にならな〜い?」
「は?別に。」
よく学校の先輩に見せているような笑顔は消え、苦々しげな態度で余りに素っ気なく、切なさを隠し切れずに木原は答えた。
でもここ、気になってもらわないと話しにならない。