すると、少し考えたような表情を浮かべ、恭汰は静かに口を開いた。


「…起こすのも悪いし、でももう管理人さんいないし。だから俺、仕方ないから多目的ホールのイスで寝ることにします。」


心底からのため息をついた恭汰は、そう言って苦笑いを浮かべた。でも、いくら恭汰自らのドジだったからって、選手をベンチで寝かせていい?否、いいわけがない。明日だってキツい練習があるんだし。

そう思ったあたしは、あたしに背を向けて歩き出していた恭汰を無意識のうちに呼び止めていた。


「恭汰!」

「…?何ですか?」

「あたしたちの部屋に来ればいいよ。多目的ホールで寝るなんて、やっぱりダメ。」


薄暗い廊下、静かに話しているはずなのに、あたしたちの声がよく響いた。