ちゃんと立てられている写真立てを手に取り、写っている写真を見て、ふっと笑みをこぼす。
あたしが海星のテニス部マネになったときの親睦会のときの写真…。まだ春休みのときだから、寿也の姿はないけれど。真ん中で照れてるような、複雑な表情をしているあたしを囲んで、各々が色んな顔をしていて。
何度見ても飽きない。
っていうか、見る度に笑みがこぼれてしまう。
その写真立てを戻し、伏せている写真立てに手を伸ばしかけてやめた。もう、三年くらい伏せたままにしているコレ。見られない…否、見ることのできない、写真…
大切な思い出だけど、今は見てはいけない。
今が大切なら、忘れるべきコトだから。コレはこのまま伏せて、あたしの胸の中だけにしまっておくべきモノなんだろう。
そうやって今まで、ずっと気持ちを抑えてきたんだ。あたしの本音なんて、いつの間にか消えてしまったんだから。