「さ、寿也帰るよー。」

「…はい。」


未だにカラオケ屋の前に立っている7人に「じゃね〜。」と手を振り、寿也を引っ張りながらあたしは帰路につく。

海星に通うため、一人暮らしのあたし。
自分で決めたことだけど、寿也との別れ際は少し名残惜しいんだ。やっぱり家で一人は寂しいから、寿也みたいな元気なのがそばにいてくれると自然と笑えるし、余計なことを考えなくて済むでしょう。


「じゃ、さよならッス。」

「明日、遅刻すんなよ!」

「…うぃっス。」


帰って行く寿也の背中を見えなくなるまで見送り、あたしも家に入る。そして何気なく電気をつけたとき、ふと、二つの写真立てが目に入った。

一つは写真が飾られ、もう一つは伏せられている、あたしの大事な写真立て…。