「陽路先輩!次は俺と歌いましょー?」

「おっけぇ♪」


恭汰とのデュエットが終わったと同時に、今度はデンモクを片手に持った寿也に誘われた。こんな輝く瞳で頼まれたら、あたしが断れるわけないでしょう。


「……大崎先輩、元気すぎますよね。」

「あぁ。何かまた、我慢しているのかもしれないな。」

「聞いても話してくれないだろうがな。」


昭文と純と章一が、そんな会話を交わしていることなんて知る由も無く、あたしは喉が潰れてしまうんではないかという程、連続で歌い続けて。

晴人や雅樹が一言も発さぬまま、静かにあたしの様子を見ていたことにも、気づくことはなくて。

――あたしはきっと、みんなを甘く見すぎてたんだ。
みんなはあたしが思う以上に、あたしを気遣ってくれていたというのに――…