かわいい人…でも髪が茶色い。読モさんよりはマシだけどスカートも短い。お化粧もしてる。
この人が…都会の高校生。
流れる汗を拭うと、その人はあたしの鞄を見て、
「うん、鞄のラインが緑だから1年生だね」
と言った。
どうやら、学年ごとに鞄のラインの色が違うらしい。
「あたし、2年生の武田 雪那って言って…あれ、何言ってんだろ」
???
なんか…イメージと違う。もっと全然怖い感じだと思ってた。
「あたし式の役員やってて、で、式は、10時からなんだよね…」
………………
「…え?」
「だから、あと…そうだなぁ、40分くらい待たないと始まらないんだ」
…最悪だ。
あんなに走ったのに。こんなに汗かいたのに。
あたしがもう一度汗を拭うと、それを見た武田先輩は体育館に入れてくれた。

体育館は全校生徒が入るだけあって、さすがに広い。
まだ何の準備もしておらず、広さが際立つ。
「ごめんね、これからみんな来て準備するから」
武田先輩はイスを1つ、ステージの下から出してくれた。あたしはそれに座らず鞄を置いて、
「あたしも手伝わせて下さい」
と言ってみた。