「じゃ、ちょっと早いが体育祭の話題だ。」
体育祭。
地元でのダサ…質素な体育祭を思い出す。
「はいはいはーい!カップルレースやりたい、てかやります♪♪」
おぉ、と少しざわめく。
それもそのはず、いままでおしとやかに微笑んでいた雪那先輩が発言したからだ。
「えぇ、彼氏いんの雪那ちゃん?」
口を挟む三浦。でも気になる、あたしも聞きたかった質問。
「いないよ?」
サラリと答える。
「でも盛り上がるし♪」
ごもっともです。
「じゃカップルレース決まりぃ!」
柚華が締めくくる。
こんな感じで話し合いは進みに進み、種目はハイパー徒競走、パン食い競争、障害物競争、ハイパー障害物競争、借り物競争、応援合戦、カップルレースとなった。
ハイパー徒競走、ハイパー障害物競争が気になるけど…。


「暮林」
「ん?」
話しかけて来たのは意外にも潤とかいう人だった。
「…何よ」
少しムッとした様子で答える。
もうあんまり怒ってないけど、こいつから一言もらわんと気が済まない。
「これ、お前のだろ」
開いた手の中には小さなキツネのぬいぐるみ。