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真っ暗な道を必死になって走っていた。

すでに足は鉛のように重くって、肺はゼエゼエと変な音を鳴らしてばかりで満足に酸素を吸わせてはくれない。

苦しい。こんなに必死になって走った事なんて一度もなかった。

風はとっても冷たいけれど、もう汗が流れるばかりで寒いか暑いかも分からなかった。
それどころじゃなかった。

全然、それどころじゃない。



道の先に、ようやく人影を見つけたぼくは、声を振り絞って、叫び声をあげる。

「待って!」