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「よれよれ‥」

優は嫌そうに萎れたパンを片手に持つ

「優が悪いんじゃん!」
わたしがムキになって反論すると、優は笑ってイチゴジャムを塗り始めた

そして一口サイズにちぎり

「はい、あ~ん」

わたしの口の前に持ってくる

優の表情はすごくにこやかで、ふざけているのがまるわかりだった

「ちょ…自分で食べるから」

プイッと顔をそらしても、「ほら」と言ってしつこくパンのかけらを近付ける


しょうがないなあ‥もう

そう思って口を開けた途端に口いっぱいに広がる、甘酸っぱい香り

それをトーストの風味がやんわりと包み込んで


わたしは何だか幸せな気分になった