ヒロは新幹線に乗って
西へ向かっていた。

何十年ぶりだろう?
こうして実家へ帰るのは・・・

色んな思いが胸を去来する。

母から電話があったのは
昨晩遅くだ。

最近、何かと
小さな事を相談していた。

昨日もその延長で
「それでね、聞いてよ」

と話し始めようとしたら、
何だか様子が変だ。

やけに、声が暗い。

咄嗟に嫌な予感がした。

「どうしたの・・・?」

一呼吸おいて母が言った。

「それどころじゃないんよ。
パパがな・・・
膵臓がんやねん・・」