「俺ちゃんと今日は早く来たんだよ!?」

「え・・・何の話?」

いきなりそんな話をされても意味がわからない。

しかも勢いのあまり、軽く怒り口調だ。


「じゃあ何で遅れたのー?」

「え?えっと・・・あっそうそう!葵に会ったんだ!」

「葵?誰それ?」

剛弘の質問に答えたのはいいが、もちろん葵と聞いてわかるわけがない。
すかさず紗季が聞き返した。

「んとね、今日からここに転入すんだって」

「へえー。何年生?」

「あれ?聞いてねえや。チャイムなっちゃったからさ」

「だめじゃん。どんな子?」

「んーちっちゃかったかな。でも瞳おっきくて髪長くて軽く巻いてあって、可愛かったよ。愛想もよさそうだったし」

思い出しながら説明する。
よく覚えてないけど、こんな感じだったはずだ。


「へえー。見てみたいかも」
ふいに剛弘がそう零した。


「たけちゃん、顔にやけてる」

「え!?そんなことないよっ!紗季ちゃんだって興味あるでしょ!?」

必死に否定する剛弘が可愛くて、紗季はクスっと笑った。






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