さっきまでの勢いがなくなった剛弘を見て、葵がくすっと笑う。
それを見た剛弘が「葵ちゃんまでばかにするー」と騒いで机に顔を伏せる。
気分はブルーだ。
「名前、たけってゆーの?」
そんな剛弘を見ながら聞く。
剛弘はパッと顔を上げた。
目がまん丸だ。
「え、お・・・俺!?」
口がまわらない剛弘に声を出して笑いながら「お前たけじゃねーのかよ」と海輝が言う。
当たり前のことに気がついた剛弘は勢いのあまり立ち上がった。
「たけ!俺、たけですっ!ほんとは水野剛弘だけど、みんなたけって呼ぶから葵ちゃんもたけって呼んで!!」
「わかった。あたしも紗季ちゃんみたいにたけちゃんって呼ぶね」
一気に話したため軽く息のあがっている剛弘とは対照的に、落ち着いた声で葵は言う。
「あー、てゆか紗季でいーよ?」
「じゃあ、葵って呼んで」
「了解。」
「ここって屋上あるよね?」
「あるよー。って言っても使ってんの私らだけなんだけど」
「そうそう。紗季、愛想わりーから誰も近づかねーの」
「はあ?海輝、喧嘩売ってんの?」
「紗季、愛想いーじゃん。転入初日にこんな友達できるなんて思わなかった」
「あれ?そーいえば葵には普通だね?」
「ほんとだ。自分でも不思議ー。葵話しやすいんだよ」
「ありがとー」
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