剛弘は不機嫌そうな顔で3人を見ている。


「たけちゃん・・・」

紗季が苦笑いしながら剛弘の名を呼ぶ。

それによって海輝と葵も剛弘へ視線を向けた。


「2人とも・・・俺のこと忘れてたでしょ」

いつもより低い声で剛弘が呟く。


何も言わない紗季の代わりに「ごめんごめん、すっかり忘れてた」と海輝が言う。

剛弘の頬が膨らむ。

「ひどいじゃんっ!海輝のばかっ!」

「なんで俺だけなんだよっ!」

「さっきまで話してたのに忘れるとか有り得ないっ!」

「しょうがねーじゃんっ!てゆーか何も言わないたけの方がわりーんだろ!」

「なんで俺が悪いみたいになってんのっ!」

いつの間にか立場が逆転し、剛弘の反抗は終わった。
今では海輝に怒られている。


そんなやりとりを見ていた紗季が「騒がしくてごめんね。いつもこんな感じなんだ」と葵に視線を向ける。

葵も紗季に視線を向け「全然平気。むしろこういう方が好き」と言った。

「こんなんでいーの?」と紗季は驚いたような声を出したが、紗季自身そんなに嫌いではなかった。


いつの間にか言い合いをやめていた海輝が「こんなんでいーんだって。よかったね、たけ」とにやりと笑いながら言う。

「ちょ、やめてよ海輝!」

剛弘は顔を赤らめながら叫ぶ。


「たけちゃん声でかいよ」

「あ、ごめん・・・」


紗季にまで注意されテンションの下がっていく剛弘。






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