「お前の教室は5組だ。担任は俺。山宮だ。よろしくな。じゃ、教室いくぞー」
教室で自分の話題が出ていることなど知らない葵は、ひとりで喋り続ける担任のあとを追っていた。
ここが何処かはわからない。
だけど、職員室とは別の校舎ということと、3階ということだけはわかった。
今は4階の突き当たりに向かって歩いている。
すると目の前の担任が止まった。
「ここがお前の教室な。おーい、お前ら静かにしろー」
そう言って入っていく。
やっぱり一番奥の教室だ。
「今日は転入生を紹介する。陽向、こい」
担任に呼ばれ教室に足を踏み入れる。
自然と視線が集まる。
注目されるのは嫌いだ。
前に立っても担任が何も言わないので、自己紹介をする。
「陽向葵です。よろしくお願いします」
印象を良くするために軽く笑ってみる。
・・・あれ?反応なし?
そんなもんかな。
すると山宮が「じゃ、陽向の席は窓際の一番後ろな」っと言った。
葵はそれに従い歩き出す。
周囲もざわつきはじめた。
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